辞めたいのに辞められない!介護職の引き止めをうまく回避する方法

引き止め 介護士

介護業界はどこも人手不足に悩んでおり、人材の流出はどうしても避けたいところ。
そのため辞めたいと思っても会社からの強引な引き止めに遭い、なかなか辞めさせてもらえないといったケースも多いようです。
お世話になった上司や会社だから…。同僚に迷惑をかける訳にもいかないし…。
とずっと引き止められていては会社の思うつぼ。いつまで経っても辞めることはできません。
では、引き止めに遭ったらどうやって断ればよいのでしょう。
今回はケース別に引き止めの回避方法をお伝えしていきます。

介護職の離職は引き止めに遭いやすい!?

介護職の引き止め

そもそもどうして介護職は引き止めに遭いやすいのかを見ていきましょう。
会社が引き止める原因が分かれば、辞めやすいタイミングや断り方が分かってきます。
公益財団法人介護労働安定センターが毎年発表している「介護労働実態調査の結果と特徴」の最新データを見てみると介護職の離職率は15.4%平成30年度介護労働実態調査の結果と特徴より)となっています。
例年16%を超える水準だったため、離職率は減少傾向にあります。
ですが、厚生労働省が発表した同年度の全体的な離職率は14.6%平成30年雇用動向調査結果の概要より)。
介護職は全体に比べると1%近く高い離職率になっていることが分かります。
全体と比べて高い離職率は例年続いており、慢性的な人材不足に陥っていることが引き止めに遭いやすい理由になっていると考えられます。
また介護業界は経験や利用者との信頼関係が大きな財産となります。
誰かが辞めるからといって新しい人を入れれば済む問題ではなく、経験を積んだ人材を失うというのは会社にとって大きな損失になってしまうのです。

引き止め方法は大きく分けて3パターン

引き止められる理由が分かったところで、実際に引き止められた時の対処法を見ていきましょう。
会社が引き止める方法は大きく分けて3パターン。
「情に訴える」「理由をつけて引き延ばす」「逆ギレで脅しをかける」
方法はそれぞれ違いますが、目的は同じ「退職希望を無かったことにする」ということ。
どの方法に対処する場合も「必ず円満に辞める!」という自分のしっかりとした意思が必要です。

引き止めパターン1.情に訴える

情に訴える

引き止めの方法で最も多いのが「情に訴える」というパターンです。
よく聞かれるフレーズとしては「〇〇さんがいなくなったら困る」「〇〇さんは会社に必要な人間だ!」といったように、会社にとっていかに必要な人材であるかを訴えかけるといったもの。
人手不足ですし、一から人材を育てるのは大変ですから困るのは当然のことでしょう。
言われた側もお世話になった上司や会社にこんなに必要とされていたなんて!と思わず感動してしまいがち。
お世話になったこと、自分を評価してくれたことに感謝しつつ、「家庭の事情でどうしても辞めなければならなくなった」「さらなるキャリアアップを目指したい」といった理由をはっきりと伝えましょう。
最後までスムーズに引き継ぎを行うことで良い評価を残したまま円満退社できる可能性が高いです。

引き止めパターン2.理由をつけて引き延ばす

退職希望に対する返事を引き延ばし、あわよくば無かったことにしようとするパターン。
「今は忙しいからその話は後で」と話す機会を避けられたり、「新しい人が入ってくるまでは頑張って」引継ぎ相手がいないことを理由に引き延ばされるというケースが多いよう。
もしくは直接の上司に退職の意向を伝えたにもかかわらず、多忙を理由になかなか会社に上げてもらえなかったということもあるようです。
先延ばしにされてしまっては、どんどん辞めづらくなってしまうだけ。
上司に話をするための時間を取ってもらえない場合は「お忙しいようなので、直接退職の意を会社に伝えようと思うのですが…」と揺さぶりをかけてみるのも一つの手。
新しい人が入るまでと引き延ばされた場合は、自分がいなくなっても困らないように引き継ぎ資料をしっかり作るようにするなど、直接引き継がなくても大丈夫な方法を用意し、「○月○日までで退職します」と伝えましょう。
原則として退職日の14日前までに伝えれば法律上はOKとされています。

引き止めパターン3.逆ギレで脅しをかける

怒る介護士

よくあるパターンではないですが、まれに「今までどれだけ世話になったと思ってるんだ!」「よそはもっと厳しいのにお前なんかが務まるわけがない!」など高圧的な態度で退職を阻もうとする上司もいます。
また、「退職するなら今までの教育費を全額払え!」といったように損賠賠償を求めてきたといったケースもあるようです。
入職する際に雇用契約書などで「○か月以内に離職した場合は会社負担の資格取得費用などを全額返金」といった記載がある場合は別ですが、通常辞める際に損賠賠償を支払う必要はありません
引き止めの逆効果と思われる脅しはスルーするのが一番ですが、そんな上司や会社ではまともな話し合いもできそうにありません。
一人じゃ解決できそうにないと感じたら労働基準監督署に相談することを伝え、実際に相談するのをオススメします。

介護職の引き止めに遭わないための方法とは?

どんな方法でもできればしつこい引き止めに遭わず、スムーズに退職したいもの。
上司や会社が引き止めを行うのは、引き止めれば思いとどまってくれるんじゃないかという希望があるから。
退職を伝える際に「○月いっぱいで退職したいと思うのですが…」と伝えていませんか?
この伝え方だと「退職したいと思うということはまだ検討段階なんだ!」と捉えられ、説得すれば何とかなるんじゃないかと引き止められます
正しい伝え方としては「○月いっぱいで退職します」と言い切ってしまうこと。
自分の中ではすでに決定事項であることを相手に伝えることが必要です。
そこにプラスして引き止めづらい理由を付け加えるとさらに効果的。
嘘をつくのは良くありませんが、どんな理由だと引き止めづらいかを知っておくと退職理由を伝える際に失敗しづらくなりますので、さっそく見ていきましょう。

引き止めづらい理由1.家庭の事情

辞令

一番引き止めようがない事情として「配偶者の転勤」が挙げられます。
特に他県の転勤となれば同じ職場で働き続けることは不可能になりますので、会社としても引き止めようがありません。
ですが、実際は転勤しないのに嘘をついて「配偶者の転勤」を退職理由にしてしまうと、近所で利用者や同僚に目撃されすぐにバレてしまうことになるのでやめておきましょう。
介護業界は案外狭いです。同じ業界内で転職しようと思っている方は、嘘をついて退職したという評判が入職前に出回ってしまうと厄介です。
他に多い家庭の事情としては「親の介護」「子供に関する理由」「結婚・出産」です。
家族が絡んでくる理由に関しては会社としても口を出しづらく、退職理由としても正当な場合が多いので、実際に家庭の事情で退職したいと思っている方は正直に伝えるようにしましょう。

引き止めづらい理由2.すでに転職先が決まっている

スケジュール

転職を前提として退職を考えている方は、先に転職先を見つけてしまうのがオススメ。
働きながら転職活動をしている場合、ほとんどの転職先が入職まで2週間~1ヵ月ほどの猶予を見てくれます。
職場によっては引き継ぎのしやすい年度初めなどの区切りで入職する場合もありますので、退職前に転職先が見つかっても安心です。
「○月いっぱいで退職し、○月からは新しい職場で働くことが決まっています」と伝えれば、会社としてもそれ以上引き止めることはできません。
退職日までにしっかりと引継ぎを行い、同僚や利用者になるべく負担がかからないように心掛けましょう。