介護業界では働く側の高年齢化も問題視されています。
その要因の一つと言われているのが、介護業界ではびこる新人いびり。
体力勝負でもある介護の仕事で20代や30代といった若い力が必要とされているにもかかわらず、陰湿な新人いびりが繰り返され退職に追い込まれてしまうといったケースも少なくないようです。
そんな新人いびりの実情と回避方法についてお伝えします。
介護業界にはなぜ新人いびりがはびこるのか
そもそも介護業界で新人いびりがはびこる理由は何なのでしょうか。
イジメやいびりは受け継がれていくものだからしょうがない。と言ってしまえばそれまでですが、現在イジメやいびりを行っている介護職にも新人時代はあったはず。
自分がやられて嫌だったはずのことを、どうして新人さんにやってしまうのか。
それは介護業界という特殊な環境の中に原因がありました。
理由1.介護業界は女性が多い
一番の大きな理由は介護業界における女性比率の異常な多さにあるのかもしれません。
介護労働安定センターが行っている介護労働実態調査の最新データを見ると、介護業界全体での男女比は男性20.6%、女性72%(無回答7.4%)という結果に。
半数以上どころか全体の4/5近くを占める割合になっており、介護業界は完全なる女性社会だということが分かります。
どんな業界でも女性が多い環境では人間関係の構築が難しく、いじめが発生しやすい環境であると言われています。
理由2.新人教育の環境が整っていない
よくあるのが「〇〇さんに教えてもらった通りにしたのに、△△さんからはやり方が違うと怒られた。」という人によって言うことが違う問題。
これは新人教育のマニュアルが整っていないことが原因で起きることが多いです。
介護業界は転職も多く、職員それぞれが自分独自のやり方や考え方を持っていたりします。
会社として統一したマニュアルがあればいいのですが、マニュアルをきちんと用意し、新人研修などをきちんと行えているところが少ないのが現状です。
新人でもいきなり現場に立たされ、その都度その場にいる人間が教えるため、人によって教え方ややり方がバラバラ。
教えた人と違う人からやり方が違うと注意され、何が正しいのか分からず混乱してしまう新人が続出。
やり方が違うと注意した人のやり方をすれば、今度は元々教えた人から教えたとおりにやらない新人だと注意され、精神的に参ってしまうことになりかねません。
理由3.人材は使い捨てだと思っている
介護職は転職が多いというのは有名な話ですが、そのせいもあってか「新人=即戦力」と考え、「新人はできないのが当たり前。ゆっくり育てていこう。」という気持ちがないという人も多くいます。
「教えるのが面倒。」「自分の仕事で精一杯なのに、人のことなんか見てられない。」「むしろ足手まとい。」「使えないなら辞めてしまえばいい。」といった考え方では、新人は育たず辞めていってしまいます。
原因としては人手不足による心の余裕の無さから来る部分も多いのではないでしょうか。
通常、入ってすぐから他の職員並みにバリバリ働けるのは経験豊富な中途採用ぐらいです。
そのため、新卒や未経験で入ってきた若い介護士がいびられ長く続かないといったことも多いようです。
無視に陰口…介護職のいじめの実態とは?
介護職業界では女性が多いという話をしましたが、そのいびりやいじめの内容は女性社会の中ではあるあると言っても過言ではない内容。
では実際どんな新人いびりがあったか見ていきましょう。
入浴介助や排泄介助の押し付け
入浴介助は介護の中でも最も身体的負担が大きいと言っても過言ではない業務の一つ。
特に夏場は気温の高い中、サウナ状態で介助を行うため、熱中症になりそうなほど過酷です。
多くの施設では毎日ではなく、ある程度曜日が決められており同じ職員の負担にならないようにローテーションを組んで入浴介助を行うのですが、当日になって「腰の調子が悪い」「手首が痛い」など理由をつけ断りづらい新人介護士に替わってもらうよう仕向けたりすることも。
本当に困っているなら仕方ないのですが、仮病をつかってまで押し付けるのはいじめです。
また、介助の中でも負担が大きいとされている排泄介助を一日に何回も同じ人に指示する場合も。
人手が足りなくてどうしても同じ人が回らないといけないといった理由をつける場合もありますが、ローテーションをうまく組めていないのは管理側のミス。
明らかに意図的な場合は悪質ないじめであると判断できます。
無視をされたり陰口を言われる
新人だからこそ分からないことがたくさんあって当然。
分からないことは上司や先輩に聞くのも当たり前ですし、分からないまま自分で勝手にしてしまう訳にもいきませんよね。
ですが分からないことを聞こうと声をかけると無視されてしまったり、初めてのことが上手くできないと陰口を言われてしまうといったことがあるようです。
無視や陰口はどこの世界でもよく聞く典型的ないじめ。
分からないことを聞いても無視するのは、そもそも新人を育てる気がないからできること。
ただ聞く側も気を付けなくてはいけないのが、一度聞いたことは何度も聞かないようにすること。
「この質問、前も聞かれて教えてあげたのに覚えてないのかな…。」
覚える気がない、何度教えてもできないと思われてしまうと、質問しても答えてもらえなくなるのは仕方のないことかもしれません。
何かを教えてもらう時は必ずメモを取ったりして覚えるようにしましょう。
仕事のミスを擦り付けられる
人間誰でもミスは起こしてしまうもの。
それをどうカバーできるか、どう反省して次に生かせるかが大事なのですが、自分のミスを誰かに責任転換して逃げようとする人も中にはいます。
介護現場では仕事のローテーションが組まれてはいますが、スタッフそれぞれが臨機応変に対応するため何かトラブルが起きてもそれが誰のミスなのか分からないこともしばしば。
そんな時に責任転嫁のターゲットにされやすいのが新人介護士です。
「こんな初歩的なミス、新人くらいしかしないだろう。」「新人の手伝いに付き合っていて自分の仕事ができなかった。」
といったように反論しづらい立場にいる新人に責任転嫁をします。
自分がミスをしてしまったのなら謝るべきですが、人のミスを擦り付けられて会社での評価を落とされてはたまったものではありません。
新人いびりのターゲットになってしまった…対処法は?
ただ一生懸命仕事をしていただけなのに、いつの間にか新人いびりのターゲットになってしまった。
それは事故のような物。理由も分からず、ある日突然ターゲットになってしまったという方も。
ひたすらに耐えたり、我慢したりという方法もありますが、それでは介護の仕事を続ける前に精神的に病んでしまう可能性があります。
そんな時はどう対処したら良いのか、いくつかまとめてみました。
会社や上司に相談する
まずは話しやすい身近な上司に相談してみるのが一番。
また、会社によっては社員専用の相談窓口が設けられている場合もあります。
ですが、相談すべき立場にいる上司が自ら新人いびりをしていたり、上司に相談したことで告げ口したと思われ余計にいじめがひどくなったというケースもよく聞きます。
会社や上司がどういった対応をしてくれるのか、よく観察してから相談してみるのが良いでしょう。
いじめの張本人と話し合う
これで解決できたら苦労しない。と思う方も多いと思います。
ですが、お互いの認識のズレや勘違いなどからいじめに発展しているケースもあるので、これで解決する可能性はゼロではありません。
思ったことや感じたことを素直に伝え、どうしたらお互い気持ちよく仕事ができるのか話し合ってみるのも一つの手です。
うまくいけばいじめの前より良い関係になる場合も。
なかなか勇気が必要な方法なので、試せる方は少ないかもしれませんが、諦めずにチャレンジしてみても良いかもしれません。
最終手段!退職・転職する
どうしても今の職場でいじめを解決する方法が見つからない時の最終手段。
解決しない状態で働き続けてもストレスが溜まる一方で、精神的に病んでしまっては元も子もありません。
介護業界は比較的転職が多い職種ですので、転職して環境を変えてみるのも一つの手です。
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